冒頭のアップの顔は例えば龍のようで、それだけ見せられれば、
魚とは思われないかも知れません。
スーパーの鮮魚コーナーで求めたトクビレの全体の姿はこちらで、

やはり魚感はないですが、
ヒレを広げた姿をイラストで紹介すると、こんな風にようやく魚らしくなります。

いずれにせよ予備知識が無ければ、店に並んでいたとしても自ら進んで、
買う気は起きないでしょう。普通は・・
魚を捌くようになってから以下の指南書に紹介されている魚と
市場や鮮魚店に並ぶ魚照らし合わせながら、旬の魚の実際を知り、
手頃な値段のものを求め、指南書の記載を真似ることを続けました。

【中古】 釣魚料理図鑑 我が家でさばこう!うまい魚101 /西潟正人【著】 【中古】afb
冬のある日に鮮魚コーナーでこのトクビレを見つけ、
おっかなびっくり買い求め、トライしてみました。
ヒレを切り取り、頭を落とし、腹を開く・・
ここまでは主に調理ハサミを使う、トクビレ独得の捌き方。
その後は2枚下ろし~サク取りで、ようやくいつもの包丁使いの感じです。
▼ 刺 身
姿に似合わず、キレイな白身が美しい。かなり脂が強い柔らかな味。

▼ 塩焼き
指南書通りに2枚下ろしにして、片身の付いた中骨を焼き上げます。
バリバリ骨までかじりますが、やはり脂の多さに驚きます。

▼ 皮揚げ
素揚げの皮も大変旨いです。
熱々にレモンを絞れば、ビールがひと際美味しくなります。

とくびれは漢字で書くと「特鰭」であり、納得です。
一方、ハッカク(八角)という名の方が通っているようです。
他の魚同様に地方によっては地域固有の呼び名があるようで、
その中の一つに「ワカマツ」という名前もあるとか。
指南書先生曰く「意味が分からない」とのことでしたが、
或る日、犬と公園の中の松林を散歩していると、
見上げた松の枝に、そう、成長していつかは松ぼっくりになるであろう部位に
目がいきました。
それこそ、とくびれの体のギザギザのような鎧に似ているように感じ、
だから「ワカマツ」(若松)なのだと思い当たったのでした。

