
いきなりこぼれ話:伊豆海洋公園のサヨリ
若かりしダイビング指導員の頃・・伊豆海洋公園の送り出しの入江を通り抜け~一の根に向かう辺り、水面を見上げると、群がっているサヨリによく出くわしました。

或いは、フィリッピンの南西、大理石諸島のエルニドリゾートが出来たばかりの頃、リゾート前の浅い海面には沢山の大きなダツの仲間が群れていました。
サヨリもダツと同類・・エルニドのダツの仲間は日中ならば危険性もあまりなく、表層の豊富なプランクトンを誰にも邪魔されず、みんなで貪るように食べていました。

閑話休題:銀色に輝くサヨリ
魚を捌くようになってから市場や鮮魚店を冷やかしで歩くことも面白く、その時々に並ぶ魚を眺めながら、市場や店を評価しつつ、性格(品揃え≒素材取り扱い具合・得意・不得意等)を判断するも楽し~♪と感じていました。
そんな時間の中で、店頭に並んだ銀色に輝くサヨリを見て、一度は自ら下ろして刺身で食べたいと思っていました。

![]() | 旬~食べごろ |
秋~春。年明けから春に向かう頃、鮮魚店には多く出回るように思う、春をイメージさせる魚です。大きいものは料亭など高級店に回るらしく、個人が入手できるものは小ぶりに限られるようですが、お値段見ながら吟味します。背や腹に透明感、全体に張りがあり、下顎が紅色なものが新鮮な証しという。
![]() | 素材の特徴 |
細い体はガラス細工のようで、いやがおうでも丁寧に扱おうという気持ちが生まれます。包丁も事前に砥いでおきたいものです。繊細な身なるが故に処理は手早く、体温が移らないよう注意が必要。細身なので極力、骨に身を残さないよう捌くこと、皮は切れやすいので引く際は注意という指南です。キンメ同様お腹の中は黒い薄膜に覆われていますが、か弱くも、透き通るように美しい姿なので「腹黒い女」と揶揄されるとか。
▼我が指南書の2冊

【中古】 海の幸 さかなBEST95・たこ貝BEST35・かにえびBEST20 /山口昭彦【解説】,落合慎一【料理】,木原浩【写真】 【中古】afb

【中古】 釣魚料理図鑑 我が家でさばこう!うまい魚101 /西潟正人【著】 【中古】afb
サヨリの刺身
指南書に従い注意深く包丁を使い、盛り付けた刺身です。
![]() | 味わい |

だい鉄
透き通るようなその身は小さくても姿盛りにすれば、春を想いながら美味しさも増すというもの。
白身の淡い上品な味は割り醤油でいただくのがよいとされ、アルコール分を飛ばした酒に同量の醤油を加え、味わいます。当然のことながら、濃い味付けのものより先んじていただかないとせっかくの繊細なお味が無駄になります。他の料理や酒を口にした後はツマを醤油につけず口に運んでから(口直し)いただけば、よいと思います。

海洋公園の水面で踊る姿を思い浮かべながら口に運びました。




