
2001年~2018年まで、専門医先生の指導を受けながら化学物質過敏症の患者さんのケアーを行っていました。
その間、自らも相当な過敏体質となりましたが、今は随分改善されました。
私の体験が少しでも参考になればありがたく、この難病と関わってきたことをまとめました。


化学物質過敏症とは?
シックハウス症候群という病名は比較的一般に知られていると思います。
建築素材中の有毒物質・ホルムアルデヒトが原因で、新築やリフォーム時、苦痛を覚える病気です。
目がチカチカしたり、頭痛やめまいが生じたりするなど、つらい症状が現れます。
近年はホルムアルデヒトの害が徐々に知られ、壁紙や接着材等の成分がかなり配慮されています。

化学物質過敏症(Chemical Sensitivity)は生活の中の化学物質の影響で通常の活動が困難になる難病です。
原因となる化学物質は洗剤・化粧品・農薬・消毒剤・塗料・タバコ臭・印刷物のインク等々、多岐にわたります。
これらに反応して様々な不定愁訴が生じ、重度の場合、厳しい神経症状に悩まされ身の置き場にも苦慮します。
発生メカニズムの解明は不完全で抜本的な治療方法も確立されておらず、専門医も極めて少ない現状です。

だい鉄
シックハウス症候群の発症原因と症状を広げたような病気です。
反応の対象や程度に大変個人差があることも対応が難しい要因です。
化学物質過敏症との出会い

【商品開発と販売】
縁があり、2001年1月に化学物質過敏症患者さん向けの商品開発に係わり、初めてこの難病の存在を知りました。
その年の5月だったと思います・・
都内広尾の北里研究所病院で開催された日本臨床環境医学会講演会会場の傍らでマーケティングを開始。
以降、化学物質過敏症の患者さん向けの商品販売に従事するようになりました。
(諸事情あり、契機となった主たる商品についての言及は伏せます)

【400名を超える患者さんとの会話】
テスト販売を経て、電話・FAX・インターネットによる本格販売を始め~商品は宅配便で発送しました。
販売活動を終えるまでの約18年間、恐らく400名を超える患者さんと主に電話で直接お話してきたと思います。
患者さんの生の声を聞くことで、この病気の厳しい状況を肌で感じました。

【禁煙】
患者さんに配送する商品は自ら梱包していましたし、時には直接納入する必要もありました。
匂い移りを懸念して、長年吸っていたタバコも即、止めました。
禁煙ではなく、(断酒ならぬ)断煙と言った方が正確と思います。
仕事上の必要からになると不思議なもの・・いとも簡単、スッパリ止められました。
患者さんの苦しみを知り、(たかがタバコごとき)という気持ちだったと思います。

活性炭入り脱臭マスク~キーメイトマスクの販売
前述の日本臨床環境医学会講演会で活性炭入り脱臭マスク・キーメイトマスクの存在を知りました。
来場する病院の先生方や化学物質過敏症の患者さん向けに販売会社のPRブースが設けられていました。
この時から主たる商品共々、おおよそ18年に渡り、キーメイトマスクを販売して参りました。

このマスクはクラレが開発した、溶剤臭、農薬臭などが発生する工場や現場での作業向けのものでした。
つらい臭いの元となる有機溶剤に含まれるトルエン、キシレンなどを除去する活性炭入り脱臭マスクの定番です。

だい鉄
CS患者さんの苦痛となる匂いにも有効で、口コミで需要が広がったようです。
「国産部材を使用した国内生産のため、安心!」という声も多かったです。
キーメイトマスクは後にキーメイトマスクD-300、さらにキーメイトマスクD-300A という名称に変わりました。

クラレ 活性炭入り簡易防臭マスク キーメイトマスク (50枚入) 1箱 (D-300A-50P)
【姉妹品】
同じキーメイトマスクという名称ながら、仕様が異なる別品番のマスクが姉妹品として追加されました。
▼キーメイトマスクPD-200 入り数:1枚/袋×20枚/箱×10箱=200枚

キーメイトマスクPD200 活性炭り 防じん対策マスクプリーツタイプ 20枚入
外見的には一般のマスクとあまり変わらない感じです。
惜しむらくは活性炭シートは日本製ですが、マスク加工が中国製というところか。
他にホルムアルデヒトも吸着する、CS患者専用マスクのキーメイトマスクCS-5Aも販売されていました。
しかし、残念ながら販売終了となりました。詳しくは以下のページにて。
商品管理・発送の留意点
CS患者さん向け商品の管理と梱包、発送には、患者さんの不快な思いを最小限に抑えるべく諸々留意しました。

▼ クラフトテープを使った梱包

▼ エアーキャップで包んだ梱包

印刷物などを日向に干していたら、急に雨が降ってきたり、はたまたハトが寄ってきたり~
その度にバタバタと移動したり、四苦八苦しました。

だい鉄
(こんなことをやっていて意味があるのか?)とイラつきながら、見えない敵(匂いの元)に立ち向かっていました・・
自らの発症・・そして回復
【過敏体質に】
CS患者さん向けの商品を販売していくうちに、私自身も徐々に体に化学物質の影響を感じるようになりました。
柔軟剤や強い化粧品の香り、タバコ臭などに当たると、舌が痺れたり、四肢が痛くなったり・・
酷い場合、殺虫剤を浴びた蚊のごとく脱力してヘロヘロになり、回復にかなりの時間を要すようになりました。
●(患者さんが苦痛を覚える匂いはどんなものか?)理解しようとしました。
●商品や梱包材への匂い移りを避けるため、細心の注意を払いました。
●商品や梱包材への匂い移りを避けるため、細心の注意を払いました。
結果、脳が学習し、自らの体や五感で害を認識するようになったのだと思います。


だい鉄
CSをテーマにしたTV番組の制作に関わった際、担当ディレクターからも似たような経験を聞きました。
取材を通じてCS患者さんの嫌がる匂いを知ってから、「匂いに反応するようになった」といいます。
交際していた彼女の化粧品や香水の香りが鼻に付き、大変つらくなったそうです。
それ以外にも・・
●CSを診療する専門医先生や看護師の方々は総じて匂いに敏感です。
●夫婦ともにCSに病むという例がままあります。
(配偶者がつらく感じる匂いについて、自らも敏感になった結果では?)
●夫婦ともにCSに病むという例がままあります。
(配偶者がつらく感じる匂いについて、自らも敏感になった結果では?)
これらはみな脳の記憶や学習によるものと思えるのです。
【家を出て行った娘~仕事に追われる日々】
元々は会社勤めでしたが、意を決して退職し、1997年に小さい会社を立ち上げました。
折しもネット通販の楽天市場が誕生した頃で、早速、出店し、楽天市場での店舗運営が仕事の中心でした。

そして前述のいきさつがあり、並行してCS関係の商品も販売しました。
最初は外に事務所を設けていましたが、コスト削減で自宅の一室での作業に切り替えました。
商品の保管や梱包もその部屋で行うことになり、掃除、洗濯含む家族の生活臭に留意する必要が生じました。
私自身、匂う整髪料等は避けていましたが、家族にも匂いのするものは遠慮するよう強いました。
柔軟剤や強い匂いの化粧品、湿布薬や肩こりの塗り薬に至るまで厳しく注文を付けました。

娘は年頃でアロマを使ったり、マニキュアを塗ったりしていましたが、それらも「止めろ」と。
あまりうるさく言うものですから、とうとう「出ていくからっ!」と、一人暮らしを始めることに・・

だい鉄
数年後、また戻ってきて、今は円満に同居しています。
勤め人時代と異なり、生活費は自ら捻出せねばならず、頭の中はいつも売上のことばかり・・
完全なOFFなどは滅多になく、食事や風呂、寝ている時間以外はいつも仕事、仕事の日々でした。
ストレスまみれで、専門医先生も前述の匂いに対する心身の反応を診断し、「相当の過敏体質」と断じました。

【症状の改善】
年月は過ぎ・・
20数年続けた会社も潮時となり、廃業に至り、同時に数字に追われる日々から解放されることに相成りました。
すると、心身をむしばんでいたストレスも次第に軽減し、ついには殆ど消失していったのでした。
長年続けたCS関連の商品販売も終了することになり、仕事面で匂いの心配をする必要がなくなりました。
結果、徐々に匂いに対する反応度合いも軽減していきました。

だい鉄
リピーターの患者様には今も申し訳ないと思っています・・

販売事業にピリオドを打ちましたが、いつまでもノンビリしている訳にいきません。
生活をリセットすべく、一からの職探し・・見つけた仕事はある商品の飛び込みセールスでした。
ところが・・新しい職場は4人全員が喫煙者!セールスは単独行動なるも、会社~現地の移動は営業車で一緒・・
車中、食事どき、休憩中、あれほど嫌っていたタバコの煙とモワ~と押し寄せる臭いに囲まれて・・

でも不思議なもので、煙と匂いは快くはなかったものの、我慢できない程ではなかったのです。
(金を得るためには仕方がない、慣れなければ)との気持ちが勝ったのか??

だい鉄
その職場は別の理由で早々に去り、身の丈に合った仕事と生活スタイルに変え、今に至っています。

リニューアルした生活は0(ゼロ)からの出発と言ってもある意味過言ではありませんでした。
家族は変わらずとも住居も仕事も日々のルーティンも変わり、毎日が新しい事実の積み重ね。
そして気が付けばいつしか、苦しんだ ”過敏体質” から脱却していました。

いまだタバコ臭や柔軟剤の匂いなどは毛嫌いしていますが、家族の化粧品等々の匂いは気にならなくなりました。
自身も避けていた虫刺されの薬なども塗るようになりました。
ひとつにはストレスまみれの日々から抜け出したことが大きいのでは?と感じています。
かつては思うように数字が上がらず、イライラが募ったり、ネガティブな思考にとらわれがちでした。 しかしそうしたことが一切無くなり、静かに毎日を楽しめるようになりました。

だい鉄
過敏体質の自覚以来、化学物質を出来るだけ避け、素材に気を配った手作りの献立を増やし、日々、適度の運動を心掛けていました。
その上でストレスから脱却でき、相乗効果が生まれたのでは?と。
化学物質過敏症対策~世界が、未来が見えてくる
・・久しぶりにCS関連の情報をネットで検索しましたら、以下の本を見つけました。

化学物質過敏症対策 専門医・スタッフからのアドバイス (プロブレムQ&A) [ 水城 まさみ ]
患者さん向けではなく、CSを知らず、対応方法が不明で困っている一般の医師や看護師、医療機関向けの本です。
化学物質過敏症の本質と診断方法などについて具体的指針が専門医の立場でまとめられいます。
序章には、第一人者の宮田先生が化学物質過敏症について解説されており、問題点、課題も述べられております。
その前段の「はじめに」では、著者・水城まさみ先生が宮田先生の記述に対して、
「文章から湧き出てくる化学物質過敏症の臨床・研究そしてこれからの人々の幸せを願う情熱を感じていただけることを願っています。」
~とされ、さらに私は宮田先生による次の言葉に打たれました。
「化学物質過敏症の診療を行うと、医療が、世界が、未来が見えてくるのです」

・・そして私は、水城先生がお亡くなりになっていたことを初めて知りました。
先生には直接お会いしたことはなかったですが、電話やメール、お手紙で随分ご指導頂きました。
簡潔で分かり易く、優しくも力強い言葉。 ・・凛としたお声は脳裏に焼き付いております。
大変お世話になりました。ご冥福をお祈り申し上げます。

*この記事は2019年7月17日に公開した、化学物質過敏症(Chemical Sensitivity)を加筆修正したものです。
2022年5月18日に北里研究所病院環境センター長であられた石川哲先生がご逝去されました。
間接的ではありましたが、石川先生にもご指導いただきました。
ご冥福をお祈り申し上げます。


クラレ 活性炭入り簡易防臭マスク キーメイトマスク (50枚入) 1箱 (D-300A-50P)

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